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千年をとぶ鳥
黒潮は金華山沖で豊かな漁場をつくった後、進路を東に変え太平洋を渡りカナダ西海岸にぶつかります。カナダ西海岸は日本の三陸海岸のように湾と島々が入り組んだ地形であり、沖合では三陸海岸同様に世界でも有数の豊かな漁場が形成されています。この地域は古くからファースト・ネイションズという私たちと同じ海洋モンゴロイドの先住民族が漁業・狩猟を生業として暮らしていました。そこにはカモメやワシが飛んでいて、春から夏にかけての海霧もみられ、女川町と同じ風景があります。太平洋を挟んだ対岸で私たちと似た人々が同じような風景を目にしながら海と共に暮らしています。
太平洋という、大きな大きな湖の辺りに住む彼らの生活から、私たちにも繋がる海との共生のヒントを探しました。
彼らは『トーテムポール』に代表される装飾芸術によって生活や文化を後世に伝えてきました。トーテムポールに彫刻された鳥や魚、動物などのモチーフにはそれぞれ家や部族の指針や神話、想いが込められています。それらを生活の場に設けることで自然との共生を形にしてきたのです。
私たちが提案するのは女川町にとっての「生活の指針(トーテムポール)」となる ようなキャビンです。ウミネコが海と共に生き、遠くの海をずっと眺めているよ うな佇まいが女川町の文化感に近いのではなかと考え、モチーフにしました。 まちの人みんなが集まれる場所であるともに、まちに流れる時間や変化する空間 を感じ、1000 年、その先まで続いていく海の物語を展望します。
plan
01.すり鉢状の窪んだ土地と輪状の長椅子がみんなが集まる場をつくります。
02.二本の柱と梁、アーチに張られた膜が円形の屋根に真っ直ぐ空隙をつくります。
03.空隙へ目線を向けると下から上へ、女川町海岸広場を行き交う人、港湾に停泊する漁船、漁港や街並み、山、空、そして空を舞う鳥々へと縦に女川の風景が切り取られ、まちの移ろいを感じられます。
04.またキャビンはカナダ西海岸を向いており、空隙によって切り取られた女川町の風景の先に太平洋渡った対岸まで遠く広く想いを馳せます。
05.キャビンに形どられた軸線が、女川町の海の文化を後世に伝え続けていく指針となることを期待しています。

















