建築探訪『桂教会聖堂(ジョージ・ナカシマ)』@京都市西京区(桂駅周辺)
- 園家 悠司

- 2023年4月15日
- 読了時間: 2分
日系アメリカ人であるジョージ・ナカシマは家具デザイナーとして広く知られています。日本においてはアントニン・レーモンドの事務所に在籍し、前川國男や吉村順三と席を並べていました。レイモンド事務所時代の彼の担当作品(設計及び家具)が長野県軽井沢にある軽井沢聖パウロカトリック教会です、こちらにも是非足を運ばれたい。
第二次世界大戦が迫る頃、彼はアメリカに戻り当時最先端の試みがなされていた西海岸を視察します。自身の創作を木工作業と定める・終始自身が全てを統合できるものづくりを求める、この2点が西海岸で確認されたことでした。戦中戦後に渡って、彼は木工作家としてのキャリアをスタートさせていくことになるのです。
「桂教会聖堂は家具デザイナーが作ったのでスケールが細かくディテールも家具的である」というのは、よくありそうな彼の経緯に紐付けられた容易な賛辞ですが、ではその家具的要素がどういった役割で使われたのかは考えてみたい所です。HPシェルを使った内部空間は入口や長椅子側が天井が低く横に平べったい造りで、正面の十字架があるガラス面は縦長で天に吸われるようなスケールが急に変化していくようなイメージです。「洞窟の中から明るい外を眺めている」と言った感じでしょうか。モダンなRC造の構造を窓枠や家具などの木部が仲介役となって、人のスケールと調和するように設計されているのかなと想像できます。白壁に丸い洞穴が開いており、そこに四角い木枠の窓をあてがった処理などは特に独特な造形感を見せています。この建築について彼が多くを語らなかったことは、何かデザイナーとは立場を変えて取り組んだことを暗に示しているのかなと感じられました。
〒615-8196 京都府京都市西京区川島尻堀町30(阪急京都線桂駅徒歩6分)













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