建築探訪『浜松市秋野不矩美術館(藤森照信)』@静岡県浜松市天竜区
- 園家 悠司

- 2023年5月10日
- 読了時間: 2分
不思議な建物に見えるということは、間取りもきっと複雑なはず!と思ってしまうのが人情だと思います。しかしながら、やっていることは至ってシンプルです。方形屋根(四角錐型の屋根)の正方形の間取りが2棟(屋根は鉄平石、壁は天竜杉)が45度振れた状態で離れて配置され、その間を直方体のボリューム(壁はワラと土を混入した着色モルタル)が繋いでいるだけです。表側から見ると三角屋根の家形に四角い土壁の箱が食い込んでいるように見えますね。していることはこれだけです。内部は片方の三角屋根部分がエントランスホール、間の箱の部分は1,2階とも展示室と動線、そして水場、奥にもう一方の三角屋根部分がありこれも展示室、これで完結、とてもシンプルですね。
浜松市秋野不矩美術館は静岡県の山際、天竜川沿い二俣城跡から15分程歩いた丘の上に建っています。下から大きく山筋を迂回して美術館に到着するのですが、木と土でできたお城に登っていくようなイメージです。上に着いたら、変わった感じの農家かな?と思うような佇まい、プランを見てもお城や古民家、農家をミックスしたような間取りと質感のある建築です。
私は癖でそういった建築様式を見てしまうととても古い時代のものを呼び起こして設計したのかな?と思ってしまうのですが、多分そうではありません。100年前、ついこの前まで実際に日本のあちこちにあった当たり前の建築風景を造っているだけなのでしょう。でもそれが、とても珍しい太古の代物に見えるのですから、この100年の歩みはまさに激変だったのだなとしみじみ思います。











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