建築探訪『茨城県近代美術館(吉村順三)』@茨城県水戸市
- 園家 悠司

- 2023年5月6日
- 読了時間: 2分
1988年に開館した茨城県近代美術館は建築家・吉村順三によって設計されました。ポストモダニズム建築が全盛期を迎える中造られた茨城県近代美術館はモダンながら帝冠様式あるいは神社寺院のような重厚感を醸し出しているように感じられました。赤褐色の花崗岩の壁、緑青色の銅板葺の屋根、その上には橋の欄干の擬宝珠を思わせる装飾が据えられています。また建物の四方から垂れる緑青色の鎖樋も印象的です。床は幾何学文様の石材(これも花崗岩?)が白と黒のモノトーンカラーでまとめられ、天井は大振りな装飾のトップライトと中に仕込まれたシンプルなライン照明、そして内壁は外壁と同様の赤褐色の花崗岩で作られています。
完成当時は銅板葺の屋根と花崗岩の外壁で全体が赤褐色に覆われた岩の塊のように見えたのかもしれません。そこから屋根が緑青色に変化し神社や寺院を思わせる風貌へと移り変わっていったのかもと想像します。それは千波湖の対岸に偕楽園や水戸城跡など古い文化的建築物を多く残している水戸の街に徐々に馴染んでいく変化だったように思われます。西洋から入ってきた近代の都市機能である美術館は、存在としては神殿的になりがちかもしれず、そこを時間経過とともに神社寺院的な存在(=和風な神殿)へ成長するように設計がなされたのかなと想像できる意匠性があるように感じました。













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