建築探訪『ウェスティン都ホテル京都本館(村野藤吾)』@京都市東山
- 園家 悠司

- 2023年4月22日
- 読了時間: 2分
1890年、京都東山に都ホテルの前身である吉水園が開かれました。1960年には建築家・村野藤吾の設計により、現在の本館が完成します。そして現在、2019年にリニューアル工事を終え装いを新たに営業を続けられています。
村野藤吾作品群の中でも一際目を引くのが一連のホテル作品ではないでしょうか。その多くが彼の設計人生の後半期間にあるためか、初期の頃に見られる様式らしい装飾から大きくアレンジ(改良)が加わったのか、彼独特の装飾的造形がふんだんに盛り込まれています。
意匠と一口に言っても、村野建築では造形なのか文様なのか素材の質感なのか、それぞれの境界は判然とせず全体をして大きな空気感を醸し出しているように感じられます。先の投稿にも書いた"動物感"と言うことなのですが、とても魅力的な世界観であると思います。
"ホテル”はしばしば歴史的事象の舞台となることがありますので、その点を鑑みるに高級感或いは重厚感というものが当然必要になるものだろうと思います。公においては"賓"、日常においては"くつろぎ"、それぞれ静謐な空間性を要します。
もちろん、グレードによってはよりライトな装いをこそ必要とすることもありますが、村野藤吾のところに集まってきたホテル設計はことごとくその派ではなかったのでしょう。そんなグレードの高いホテル設計の中で"彼独自"と言っても良い程個性的な意匠性が冴え渡ったことは単に彼自身の凄みということと、時代的な後押しが大きかったのだろうことが推測されます。幸福な時代ですね。













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