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建築探訪『京都市京セラ美術館』@京都市左京区

  • 執筆者の写真: 園家 悠司
    園家 悠司
  • 2023年4月17日
  • 読了時間: 2分

この建築ははじめ「大礼記念京都美術館」として1933年に開館しました。公募選考により前田健二郎の設計案が採用され、鉄骨鉄筋コンクリート2階建ての帝冠様式になります。「京都市美術館将来構想」により青木淳・西澤徹夫設計共同体の基本計画案(公募)が採用され、2020年現在の状態にリニューアルされました。

帝冠様式ではエントランス(車寄せ)に向かって馬車で上がっていくための大きく緩やかアプローチが付くことがしばしばですが、この改修では上下が反転して建築の足元に滑り込むように広くゆったりとしたアプローチの広場が設けられています。これにより、建物に近づくほど高さが増しより一層壮麗さが増しています。

日の字型の平面をしており、2つの中庭に挟まれた真ん中に中央ホールがあります。建物の下を潜って中央ホールへ顔を出すと、白く清潔感のある広い空間にEVボリュームと螺旋階段があり、造形的なアクセントになっています。また天井の丸い昼白色のペンダントライトがポワッとした空間の軽快さを醸し出し、白壁と木の床面が北欧の大きな体育館みたいな柔らかい印象を作っています。


帝冠様式は昭和初期に流行した様式で鉄筋コンクリート造の洋式建築に和風の屋根を冠したデザインの建築様式です。「様式」というものを考えるとき、当時の世相背景を抜きにしては語れず、増して昭和初期という未だ風化していない歴史の印象を持っているものを現代に引き継ぐ(活かす)というのは容易ならざることです。リノベーションはそこへ直接メスを入れるようなもので、近代の要素に現代の設計がどうアプローチをしているのかを見るのも美術館を楽しめる一つの視点かと私は思います。



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