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形旅『戦場ヶ原』@栃木県日光市

  • 執筆者の写真: 園家 悠司
    園家 悠司
  • 2023年4月14日
  • 読了時間: 2分

神代の昔、上野国(群馬県)赤城山の神と下野国(栃木県)二荒山-現・男体山-の神は中禅寺湖がどちらの所領かを争いました。赤城の神は大百足(ムカデ)に、二荒の神は大蛇(オロチ)に化けて戦を始めました。ムカデは大蛇を男体山の麓(現戦場ヶ原)まで追い込みましたが、反撃の矢を受け敗走。この戦で流れた血が戦場ヶ原の湿地を赤く染め、昔は「赤沼」という沼がそこにあったそうです。

現地に行くと確かに赤い川が流れています。地質的には過去に男体山が噴火した際、噴出物の中に混じっていた鉄分が酸化したためだそうです。つい数十年前までは湿地帯でしたが今は広い草原になりつつあります。


さて、戦場ヶ原を西に下った所に群馬県沼田市がありますがそこでは「大蛇まつり」という祭礼があり、「赤城の神=大蛇、二荒の神=ムカデ」と栃木と話が逆になっています。そして、どちらも大蛇がムカデを追い払うというストーリーで「大蛇が勝者・ムカデが敗者」なのです。長くてうねうねとした神々の戦は同じ「蟲(ムシ)」族の戦いであり、これらの話は鎌倉時代から伝わっているそうです。ここで気になるのは絵巻を見るとムカデは赤色、大蛇は神聖な守り神として白蛇とされることもあるということです。また、絵巻によっては大蛇=龍として描かれます。


「これって源平合戦では?」、白:源氏(勝者:大蛇)vs赤:平家(敗者:ムカデ)という構図が思い浮かびました。二荒山=日光に日光東照宮(徳川家康)があるのも勝者の大蛇=源氏で辻褄が合います。徳川は源氏の血筋を示すために、松平から改名したものですし。こうやってみると神話も当時の世相をアニメ化した風刺画や寓話であることがよくわかりますね。

ちなみに、漆原友紀著の漫画『蟲師』にも山の主として大ムカデや白い大蛇が登場します。意外とこの地域の伝承が元の話だったりするのでしょうか。



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