形旅『熱田神宮』@愛知県名古屋市
- 園家 悠司

- 2023年5月13日
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愛知県は明治の頃に織田信長の出身地尾張国と徳川家康の出身地三河国を合体させて出来ました。県名の由来は尾張国と三河国のちょうど間くらいにあった「愛知郡」から付けられました。明治政府としては旧国名は各地の大名の権威を連想させてしまうので、その意識を払拭させるために敢えて縁もゆかりも感じない県内の地名を県名にあてがいました。その際の選定の仕方の一つが県の真ん中の地名を採用するというもので、千葉県、秋田県、佐賀県などがその例です。
「愛知(あいち)」の語源は万葉集に歌に出てくる「年魚市潟(あゆちがた)」が訛った事による説があります。意味は”あゆ=湧き出る"で湧水が豊富な土地となります。あるいは日本書紀のスサノオ伝説の一説に出てくる尾張国吾湯市村(あゆちのむら)に由来するとあり、"あゆち"が転じて「熱田(あつた)」へ繋がるという説もあります。これは吾湯市(あゆち)が熱田台地と御器所台地の間の波静かな入江のことを指すためとのことです。
尾張国の真ん中と東端に「あゆち」と呼称される由来がそれぞれあるので、もしかしたらこの広い一帯を「あゆちの地」として呼んでいたのかななどと空想が尽きませんね。
また尾張(おわり)は音の通り「終わり」を意味し、ヤマト朝廷の権威の届く東端(以東は蝦夷の領域)を示していたという話があります。そう言えば関東の茨城県鹿島神宮周辺もヤマト朝廷の東国遠征における前哨基地、つまり東端だったという話がありました。どうやら各時代ごとに東へ東へ勢力を伸ばしていったヤマト朝廷の名残のような地名が太平洋側沿岸地にはいくつもあるのかもしれませんね。
そのためなのか、熱田神宮は三種の神器の1つである草薙剣(くさなぎのつるぎ)を祀っています。平安末期の源平の戦で草薙剣本体は壇ノ浦に沈んだとされているため消失してはいますが、"剣(つるぎ)"が御神体というはまさに東国征伐を物語っており、草薙剣は別名:天叢雲剣(アメノムラクモノツルギ)と言いスサノオノミコトが出雲で八岐大蛇を退治した時に大蛇の体内から出てきた剣です。"あゆち"がスサノオ伝説に由来する話も本当に繋がりがあるのかもしれませんね。













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