建築探訪『みんなの森 ぎふメディアコスモス(伊東豊雄)』@岐阜県岐阜市
- 園家 悠司
- 2023年5月14日
- 読了時間: 2分
岐阜城のある金華山の麓、金華山の北側を東から流れてくる長良川に挟まれる格好の場所にこの建築はありました。建築家・伊東豊雄の設計で建てられたこの建築はいわば、せんだいメディアテーク(仙台市)の進化版のような図書館でした。せんだいメディアテークは幾層ものフラットなスラブ(床-天井)を巨大な樹木のような構造体が上から下まで貫いているような建築です。巨木の森をある1区画、都市の中心に持ってきたと言った方が正確かもしれません。その構造体の合間々々に本棚が並んでいて、森の中で読書をしているような空間の建築でした。
ぎふメディアコスモスは、せんだいメディアテークのような床から天井を貫くような構造体はありません。フラットな広い床に肩の高さもない低い本棚が並んでいて、視界が奥まで通り立っていると全体が見渡せます。座っている人がちょうど隠れるぐらいに本棚の高さが設定されているので、プライベートは守られています。また天井にポワッとした丸い半透明の笠が浮いていて、その上の大きな屋根は木組みの、というか木が編んであるような曲線的な空間です。
ここでポイントなのは視線を全体に通るようにしつつ天井の笠によって広い部屋にスペース分けがされていること、”屋根”という高さに対する終わりがちゃんとあることの2つがあげられると思います。とても居心地が良いのです。この図書館のために岐阜に住みたいと本当に思いました。
岐阜と仙台、同じ森をテーマにした図書館でもそれぞれ違った空間の面白さがあるのは建築設計の奥深さを実感させられますね。









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