形旅『三白山(佐白山)』@茨城県笠間市
- 園家 悠司
- 2023年12月1日
- 読了時間: 2分
茨城県中部、笠間盆地の東部に標高182mの佐白山はあります。山頂付近には旧笠間城の石垣が残っており、山頂には廃城後元の位置に戻された佐志能神社が鎮座しています。佐白山は笠間稲荷とともに茨城百景の一つに数えられ、山の中腹からの巨木群は太古の森を連想させます。
「さしろ」の当て字については順番からすると佐志能(さしの)が転訛して、佐白(さしろ)となったということらしく、佐白山正福寺ではこの山に「白狐、白鹿、白雉」が神の使いとして住んでいたため、いつしか「三白山」という名前で呼ばれるようになったという逸話が残っています。他の地域でも「白山」と名のつく山は霊山とされていることが多く、ここもそれにあやかって「佐白山」と字を当てたのかもしれません。元は「佐代(さしろ)」であったという話も残っているようですので。
名前の変遷などを追っていくと、音と漢字(当て字)そしてそこから発生してくる意味、それらに付加される逸話や由来の流れが見えてきます。どこかで元の状況から飛び出して全く別のものになっていくのは言葉が山の印象を変えていってるようで、とても力のある造形(信仰の山にする)だと言えるのではないでしょうか。
言葉が人の空想(バーチャルな意味づけ)と現実の風景を繋ぎ合わせてしまう、三白山は「名付け=呪文」のようだなと実感するエピソードでした。








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